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<<   作成日時 : 2017/04/16 00:10  

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「今、何をしたいのか?」という問いかけは
実は埋もれていた情熱をよみがえらせ
心の硬直状態を解くための鍵となる質問でもあるのです。




幼い子供は、まるで魔法使いのように
始まりの火種を、毎瞬、毎瞬、創りだすことができます。

その発想は、奇想天外に思えることもあるでしょう。
でも、その始まりの火種がなければ
物事が未来へ向かって動き始めることもありません。

何の前触れもなく、発想力は一瞬にして
花火のように打ち上げられ、そして消えていきます。

やる気や生きる情熱、前に向かっていくその瞬発力を
もみ消すのが叔母のデーテだったとすれば
その大切さを知っていたのは、おじいさんだったのです。





【小さなサスペンス】

「さて、これからどうするつもりかな?」

これは、ハイジがはじめておじいさんから話しかけられた時のセリフです。

口調も厳しく、この時の彼の表情はまるで鬼瓦(おにがわら)のよう…。それもそのはず、彼はそもそも人づき合いが大の苦手。村人とも仲が悪い一匹狼の頑固者と知られていました。

そんな彼のもとに、突然、叔母のデーテが現れ、一方的に言いたいことだけを言うと、幼いハイジを置き去りにして、一人でさっさと帰ってしまったのですから!

5歳の孫娘との久々の再会にしては、不自然なほど緊張感があふれ、厳しい雰囲気がただよっていたのも、そんな背景があってのこと。

高畑監督は、この場面を小さなサスペンスとして描きたかったと述べていますが、この場面を見ていた子供たちは、自分をハイジに重ね合わせ、これからどんな恐ろしいことが起こるのかと、ハラハラ・ドキドキしまがら固唾をのんだに違いありません。




【質問の本当の意味】

このおじいさんの「さて、これからどうするつもりかな?」という問いかけは、実はドイツ語圏では日ごろからよく使われる言い回しで、「いま何をしたい?」というような感じで相手の要望や意志を聞くときに使われます。

人との関係性においても、人生を生き抜くうえでも、自分の要求を知っているということはとても大切なことです。

それによって相手との関係が誠実なものになりますし、人生もそれによって形づくられていくものだからです。


ちなみに、ヤギやペーターたちとの出会いによっていまやご機嫌なハイジは、不機嫌な彼の態度を恐れることなく、「おじいさんが、おうちのなかに持っているものを見せてよ」と答えています。

果たして、ハイジの要求は受け入れられ、アルプスでの新生活がスタートするのでした。




【生きるエネルギーが枯渇するわけ】

子供は“瞬間”に生きる達人です。

いつでも自分のやりたいことが湯水のように湧いてきて、心はやりたいことや好奇心で一杯です。

ところが学校に進み、社会人になるにつれて、人は自分のやりたいことを抑えて、社会が要求することを優先できるように鍛えられていきます。

周囲の要求に応えながら居場所を確保し、社会に適応することは、精神的・経済的に自立していくために必要な課題といわざるをえません。


ところが、その傾向が行き過ぎて、もし周囲の要求に気を取られてばかりいたら、どうなってしまうでしょうか。


人から認められることを、自分が前進するための原動力や生きる糧にしてしまうと、不自然な依存関係が生じることになります。

心のどこかで、相手に認められることを期待しながら、その人の要求にがんばって応えつづけたとしても、いつも思い通りの反応が返ってくるとは限りません。

期待が裏切られるたびに、その相手から逆に気力を奪いとられてしまうことになり、相手の反応によって感情が上がったり下がったりするため、いつの間にか心は疲れきってしまうことでしょう。


こうした精神的なストレスが原因で、身体の健康が害されてしまうことすらあるのです。

したがって、自分の要求と相手の要求、この二つのバランスを自分でコントロールしていくことは、とても大切だということができるでしょう。




【生きる情熱を蘇らせる】

脳の働きは、自発性にあると言われています。やる気や自主性が脳を動かすのです。

叱られたり否定されてばかりいると、やる気が失せて良いアイデアが浮かばなくなり、積極性が失われてしまうのはそのためです。


「いま何をしたいのか?」というこの問いは、実は埋もれていた情熱を蘇らせ、心の硬直状態を解くための鍵となる質問でもあるのです。

誰でも、やりたいことができなかった理由や言い訳をたくさん抱えているものです。人に反対された、資金が足りなかった、努力や能力がたりなくて……等々。

こうした原因や言い訳は、因果関係を冷静に分析する「認知脳」という脳の一部で出された結論です。そして、こうした分析に使われているのは常に「過去」の情報なのです。


「いま何をしたいのか?」という問いかけは、「今という瞬間」に的を絞り、過去のしがらみから自分を切り離すことで、心のより深いレベルで自分を変容させるきっかけをつくります。


もし自分の望みがわからなくなっている場合には、「決して失敗しないとしたら、あるいは誰にも迷惑をかけないとしたら、自分はいま何をしたいのか?」と、いったん認知脳の働きを静止させ、自分の本音に語りかけてみるのも良い案かもしれません。


今というこの瞬間だけが、心を覚めさせ、新しい可能性の扉を開けることができるからです。

その扉から注がれる力強いエネルギーによって、私たちの心のなかで、今というこのかけがえのない瞬間は、現実を新しく創造していく場として輝くことになるのです。




【心の安全地帯】

人生はそもそも変化の連続です。

不確実性こそが人生の本質だとすれば、思い通りにならないことも頻繁にあるでしょう。


この不確実性と立ち向かう時に、周囲をコントロールしようとしたのが、ハイジの叔母であるデーテの態度です。

ハイジの自発性を抑圧することで彼女を自分の支配下に置いたわけです。この圧倒的に不均衡な力関係のなかでハイジの生きる気力は枯渇していくしかありません。


それに対してお爺さんは、不機嫌ながらも、まずはハイジの要求に耳を傾け、ハイジの要求を肯定してくれました。

すると、そこには思いもかけないかたちで、心を開いてやりとりのできる安全なスペースが生まれたのです。


相手をコントロールするのでも、相手に期待するのでもなく、相手の存在そのものに純粋に関心を注ぐことで、未来へ続く扉がひらかれ、新しい関係性が生じるかもしれないということを、この場面は私たちに語ってくれているのです。

こうしてハイジは、自分の心に芽生えたものを大切に育ててくれるおじいさんとの運命的な出会いを通して、私たちが知っている、あの優しく元気なあのアルプスの少女へと成長を遂げていくことになるわけです。


ちなみに、おじいさんは、村人からは過去の出来事で色々と噂が流れ、恐ろしい人として敬遠されていました。ところが、頑なだった彼の心もまた、偏見なく自分を信頼してくれるハイジによって温められ、次第に解放されていくことになります。


                   「サインズ オブ ザ タイムズ」 2017.03

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なるほど(納得、参考になった、ヘー)
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