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zoom RSS ハイジに学べ!A自分らしさに目覚めるとき

<<   作成日時 : 2017/03/06 01:35   >>

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  変化によって古い殻が破れ
  新しい可能性が開かれる瞬間は
  私たちの身にいつでも起こりえます。
 



「故郷(ふるさと)」というと みなさんは
どのような風景を思い浮かべるでしょうか?

そこが生まれ故郷としての「ふるさと」だとしても
心の拠り所という意味での「“心”のふるさと」であるとしても

人が「故郷(ふるさと)」だと思える場所は
「自分らしさ」を取り戻せる所であったり

忘れていた過去の自分と今の自分をつないでくれる
そんな特別な意味のある場所であるに違いありません。

ハイジの物語は、孤児であったハイジが
生まれ故郷アルプスに戻る場面から始まります。



「遠慮しがちなハイジ」
ハイジといえば、まっさきに思い浮かべるのは
元気いっぱいの明るい女の子の姿なのではないでしょうか。

ところが、驚くべきことに
物語の始まりは、元気のかけらもない、
どこか暗い影さえ漂わせている姿が描き出されています。

ハイジは孤児で、母親の妹であるデーテに引き取られていました。

当時、デーテはまだ20代の若さでしたから
幼い子供の面倒を一人でみるのは大変だったに違いありません。

ついにハイジが彼女の生活のお荷物となり
デーテは、アルプスに住むおんじ(お爺さん)のもとに
ハイジを預けるというアイデアを思いつくにいたるのです。


アルプスへと旅立つ当日の朝、手荷物をできるだけ軽くするために
「暑い…」と小声で抵抗するハイジになかば強制的に重ね着を強いる
デーテの姿がありました。

彼女はいつもこんな調子でハイジに接していたにちがいありません。
そして、彼女のこんな調子に合わせる方法しか知らないハイジ…。

こんな調子がつづくなか、運命の輪はゆっくりと回り始めたのです。



「始まりの予感」
二人がアルプスへ発ったのは、鶏の鳴き声が聞こえてくる
薄暗くてまだ人気のない早朝のことでした。

アルプスまでの道のりは遠く、山のふもとにたどり着いたときには
ハイジはもうへとへとに疲れきっていました。

「あれが、ハイジが生まれたデリフリ村よ」
そんなとき、デーテの言葉が聞こえてきました。

するとどうでしょう。くたくただったはずのハイジは
山の中腹にある街並みをすっくと見上げ、
急な山道をふたたび懸命に歩き始めるではありませんか!

自分が生まれた場所が間近に迫っていることを知って
ハイジの心はなぜか高鳴り
どこからともなく前進する力が湧いてきたのでした。


これまで心のよりどころがないと感じていたハイジが
自分と深い関わりがあるかもしれないその場所に
強く心惹かれたとしても不思議はありません。

元気のなかったハイジ、自分の居場所がなかったハイジは
自分の故郷(ふるさと)に戻って、果たしてどのような変化をとげるのでしょうか。



「ペーターとの出会いによる突然の変化」
村の中心には無事到着したものの
おんじの住む山小屋までは、まだ相当な距離がありました。

そんな道すがら、ハイジは偶然
ヤギの世話をしているペーターに出会います。

ハイジは、ペーターやヤギたちが
野山を勢いよく走りまわっている様子に
興味津々で目が釘づけになりました。

彼らの姿を見ているうちに
ハイジのなかで急激に何か変化がおこったようでした。

手荷物を減らすために
デーテに無理やり重ね着させられた服を
一枚ずつ脱ぎ捨て、最後に下着一枚になると

ついにハイジは、ヤギのように裸足で
しかも彼らに歩調を合わせるようにして
勢いよく山道を駆けのぼりはじめたのでした。

ハイジやヤギたちがぴょんぴょんとび跳ねている様子を見て
ペーターも大笑い。

同じ生命のリズム、同じ鼓動、同じ体温の温かみ…。

彼らと嬉しさや喜びを共有したその背景には、
人間をはるかに超えた大自然の風景
そしてアルプスの美しい山々がそびえたっていました。

ハイジは、生まれ故郷ではじめに見つけたのは
どうやら「生きる喜び」のようでした。


「自分らしさを取り戻したハイジ」
裸足で山を駆けのぼるハイジの姿をみた人たちは
ハイジの足は痛くないか…と心配する前に

恐らくハイジの弾けるような生命の躍動感や喜びの表情を見て
ほっと胸をなでおろし、今後の展開に心ときめいたに違いありません。

「生命」は自分だけの所有物ではなく
天から与えられた授かりものです。

その授かりものとしての大切な生命が新しい出会いによって
一瞬にして輝きだすこのシーンは

喜びや希望の本質を描いているという意味で
見事としか言いようがありません。

ハイジに訪れた突然のこの生命の輝きは
これまでの秩序が壊れ

自分とは異なる秩序をもった存在との出会いによって
突然、立ち現れてきたものでした。

生きる喜びと希望は
生きとし生けるものの生命の鼓動と共にあります。

人が生命に宿る自発的な「動き」のなかにあるとき
そこには「自分らしさ」もまた自然と現れ出てくるもののようです。


「自分自身と仲良くなる秘訣」
ハイジはペーターや山羊たちと出会うまでデーテの言いなりでした。
そうしなければ生きていけなかったからです。

その頃のハイジは、どうみても元気がなく居心地の悪い状態でした。

ハイジのなかで何が変わったかと言えば
身体がどんなふうに動きたいかを知ることによって
「自分らしさ」を発見したことです。

恐れや不安があると頭で色々と考え
周りの要求に合わせて自分を抑えることを覚えます。

自分の感じ方を押し殺していくうちに
「生き物」としての自然な状態から離れてしまい

動きそのものが委縮して
だんだん自分の感受性もにぶってしまうのです。

「自分らしさ」や自分の感受性を取り戻したければ
あれこれ考えるのは一旦中止して

自分は何が好きなのか? 

どんなふうに動きたいのか? 

何を食べると安心できるのか? 

どんな風景が好みなのかなど、五感を研ぎ澄ませることは
自分の内面に生まれつき備わっている英知に
耳を傾ける大切な行為でもあるのです。

疎遠だった自分自身とコミュニケーションが復活するにつれて
自己イメージも変わり、心のゆとりも生まれて
周囲の人々との関係も変化していくことでしょう。

幼いハイジが「生きる喜び」や「自分らしさ」を取り戻すこの場面は
自分の内面に眠っていた生命力が目覚めた瞬間に
私たちの身に何が起きるのかを思い出させてくれます。
 
変化によって古い殻が割れ、新しい可能性が開かれる瞬間は
私たちの身にいつでも起こりえます。

変化を恐れず、新しい自分を喜んで表現していくなかで
私たちは何度でも「魂の故郷」へと戻り
そこで「生きる喜び」の源泉に触れることができるのです。
 


(「サインズ オブ ザ タイムズ」2017.2月号掲載)

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